症例118
50代,女性。
健診にて異常を指摘。自覚症状はない。
画像所見:胸部単純X線写真(正面像)
画像所見:胸部CT
右肺中葉末梢に長径9mmほどの辺縁平滑な小結節を認める。
結節の前方と内側から連続する血管構造が同定される。
上下の連続画像で追跡すると肺動脈(赤→)と肺静脈(青→)に連続することがわかる。
結節の前方と内側から連続する血管構造が同定される。
上下の連続画像で追跡すると肺動脈(赤→)と肺静脈(青→)に連続することがわかる。
胸部CT
診 断
肺動静脈奇形
学習のポイント
肺動静脈奇形は肺動脈と肺静脈が直接短絡する疾患で,シャント量が多いと低酸素血症を来すこともある。
また,シャントを介して血栓が肺を通過するため,脳梗塞の原因となる場合もある。
一般的には無症状で本症例のように健診で発見される場合が多い。
CTでは肺動脈および肺静脈の連続を証明することが容易で,CTでの画像診断は難しくないが,胸部単純X線写真も詳細に読影すれば特徴的形態から肺動静脈奇形を強く疑うことが可能な場合もある。
先に述べたような症状(低酸素血症や脳梗塞既往)を有する症例や流入動脈が3mm以上と太い場合は,治療適応と言われている。
治療としては,動脈塞栓術が第一選択である。
本症例の場合は無症状かつ流入動脈2mm以下であり,CTによる経過観察で構わないと考えられる。
胸部単純X線写真は肺野のスクリーニング目的で行われることが多いが,病変を検出した場合は単なる検出に終わらず,さらなる詳細な読影で質的診断にチャレンジして欲しい。
また,シャントを介して血栓が肺を通過するため,脳梗塞の原因となる場合もある。
一般的には無症状で本症例のように健診で発見される場合が多い。
CTでは肺動脈および肺静脈の連続を証明することが容易で,CTでの画像診断は難しくないが,胸部単純X線写真も詳細に読影すれば特徴的形態から肺動静脈奇形を強く疑うことが可能な場合もある。
先に述べたような症状(低酸素血症や脳梗塞既往)を有する症例や流入動脈が3mm以上と太い場合は,治療適応と言われている。
治療としては,動脈塞栓術が第一選択である。
本症例の場合は無症状かつ流入動脈2mm以下であり,CTによる経過観察で構わないと考えられる。
胸部単純X線写真は肺野のスクリーニング目的で行われることが多いが,病変を検出した場合は単なる検出に終わらず,さらなる詳細な読影で質的診断にチャレンジして欲しい。
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【出題・解説】
松尾 義朋(イーサイトヘルスケア)
松尾 義朋(イーサイトヘルスケア)
結節の辺縁は平滑であるが,結節の内側に連続する2本の血管様構造が同定される(青→,赤→)。
A 胸部単純X線写真(正面像)
B 胸部単純X線写真(Aの拡大像)