症例05

疾患名・解説
症 例
70歳代・男性 息切れ

Step3

その後解説を見て、再度画像診断を検討して下さい

診断:非特異的間質性肺炎;Group3
(Idiopathic Nonspecific Interstitial Pneumonia(i-NSIP);Group3(fibrosis predominant))


画像所見の解説

胸部X線写真

両側下葉は容積減少し、肺門から末梢まですりガラス影、網状影が広がっている。

CT像

両側下肺野優位で肺門周囲から末梢まで気管支に沿って扇型にすりガラス影と網状影が広がっている。
陰影内部の気管支、細気管支は著明な牽引性気管支拡張を示している。
蜂巣肺は認めない。
Fibrosing NSIPに特徴的な画像である。


本症の解説

病理組織像

左肺S5、9より胸腔鏡下肺生検が施行され、fibrosing NSIPに合致する所見が得られた。

...

全般

NSIPはKatzensteinにより提唱された疾患概念であり(1)、UIPに次いで特発性間質性肺炎(IIP)では2番目の頻度を示す。
病理組織学的には時相の均一な線維化ないし胞隔炎を特徴とし、
純粋に胞隔炎からなるGroup1;cellular、
胞隔炎と線維化が混在するGroup2;cellular-fibrosing、
純粋に線維化からなるGroup3;fibrosing
の3型に分けられれる。
ATS-ERS2002年のコンセンサス分類では、”provisional”として単位疾患とするのは留保されたが(2)、後の検討で特発性間質性肺炎の1型と認知された(3)。
画像所見はGroup3では均一な網状影が特徴で、下肺野優位で比較的気管支に沿って扇型に広がることが多く線維化が増えるにつれ、牽引性気管支拡張がより広汎で低次の気管支に及ぶことが特徴である(4)。
Katzensteinの原著では亜急性~慢性の疾患とされていたが、前述のコンセンサス分類の2013年改訂版(5)では、NSIPはchronic fibrosing (慢性線維化性)IIPに位置づけられ、Group1cellularと亜急性の経過を示すことが多いGroup2の位置付けが現在問題となっている。