症例08

疾患名・解説
症 例
60歳代・男性 息切れ

Step3

その後解説を見て、再度画像診断を検討して下さい

診断:剥離性間質性肺炎
(Desquamative Interstitial Pneumonia (DIP))


画像所見の解説

胸部X線写真

両側下肺野では対称性に血管影が不鮮明化しており、すりガラス影が見られる。容積減少は、無い模様。

CT像

両側上肺野では気腫性変化が目立つ。下肺野では、胸膜直下に対称性に均質なすりガラス影が、非区域性に広がっている。
正常部がすりガラス影にめりこむような所見(A)も見られる。
DIPを強く疑う所見ではあるが、cellular NSIPも鑑別に上がる。

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本症の解説

病理組織像

診断確定のため、右S5、8より外科的生検が行われDIPに合致する所見が得られた。

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全般

DIPは、非常に稀で喫煙者に多い疾患で、予後は比較的良好である。病理組織学的には末梢気腔が大型のマクロフアージで充満されるのが、特徴的で肺胞隔壁は細胞性に肥厚する(1)。 ATS-ERS2013年コンセンサス分類では、Respiratory Bronchiolitis Interstitial Lung Disease(RBILD)とともに喫煙関連特発性間質性肺炎に分類された(2)が、全例が喫煙者という訳では無い(3)。 CT所見では、両側性の均質なすりガラス状陰影、浸潤影が胸膜直下及び肺底優位に分布することが特徴であり、軽度不整形の線状影や嚢胞性変化を伴うこともある(4)。 正常部が異常部にめり込むようで、正常から異常に凸の辺縁を持つことも特徴的である。 RBILDとは一連のスペクトラムをとると考えられ、本症は広汎に、RBILDは終末~呼吸細気管支周囲に病変が強いものとされている(3,5)。 hybrid例も見られるが、RBILDはCTで小葉中心性の淡い陰影を示すことで区別される(A)。 BALでは40%程度までの好酸球増多が見られ(6)、CTでの末梢優位の分布と併せ、慢性好酸球性肺炎(Chronic Eosinophilic Pneumonia(CEP)との鑑別が重要となるが、本疾患はすりガラス影主体で下肺野優位、CEPはconsolidationが主所見であり比較的上肺野に多いことで区別される(7)。

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