症例01
疾患名・解説
Step2
診断名を見て、再度画像診断を検討してください
Step3
CT所見、用語(解剖)解説と病変所見のあるキー画像
キー画像の右側の“>”をクリックすると画像上の重要所見に矢印マークが現れ、さらに“>”をクリックすると所見のコメントが現れます。Thin-slice画像や白黒反転での読影にも挑戦してください。
画像所見の解説
CT所見
気管支:両側性びまん性に高度の壁肥厚と内腔狭窄が見られる。
肺野:上肺野で吸収値の高い肺野領域と低い領域がパッチワーク状に混在している。モザイク状の肺野濃度(Mosaic attenuation pattern)。
下肺は過膨張し、肺野の吸収値の低下と肺野血管の狭小化が見られる。
キー画像1
キー画像2
キー画像3
ポイント
気管支を肺野条件でトレースするには通常の肺野条件のウィンドウレベルを少し高くして観察するのが良い。画像のウィンドウ幅は1600HU、レベルは−600HUである。
用語解説【モザイク状の肺野濃度(Mosaic attenuation pattern)】
肺野の濃度が不均一で、吸収値の高い領域と低い領域がパッチワーク状に混在している所見を指し示す用語。
原因には
a)気道病変によるエアートラッピングによる変化、
b)局所血流の違いによる変化(mosaic perfusionと呼称)、
c)すりガラス影を生じる病変
がある。気管支喘息では低吸収域が病変の主体で気管支病変に伴うエアートラッピングを示唆する所見である。
キー画像4
ポイント
肺野濃度のモザイク状変化を捉えるには通常の肺野条件のウィンドウ幅を少し狭くして観察するのが良い。画像のウィンドウ幅は約1000HU、レベルは約-750HUである。
気管支内腔の粘液栓を探そう
ポイント
気管支内腔の粘液栓を探すには、1mmスライスをシネモードかつ白黒反転でゆっくり観察するのが良い。白黒反転すれば気管支の壁が明瞭化し、気管支をトレースしやすくなる。粘液栓があれば、気管支内腔の白さが途切れるので、検出が容易である。赤矢印⇒が粘液栓。詳しく見ると更に見つけることができる。
Step4
疾病の解説と所見のまとめを見た後、再度画像診断を検討してください
本症の解説
気管支喘息の解説
素因、原因:遺伝性素因があり、アレルギー性と、運動、刺激性ガス、気温の変化などのさまざまな誘因で発症する非アレルギー性とに分類される。
病態:気道炎症により浮腫や分泌物の増加と、気道の過敏性が亢進し気道閉塞を生じる。炎症が慢性化すると気管支壁の不可逆的変化が生じ、気流制限が不可逆性になる。
CT撮像の目的は、喘息に特徴的な所見を捉えるだけでなく、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症や好酸球性肺炎のような合併症の有無を調べることである。
気管支喘息のCT所見のまとめ
1.気管支壁肥厚:びまん性
2.気管支の内腔狭窄と粘液栓
3.小葉中心性の粒状影
4.呼気位のCT画像でモザイク状の肺野濃度
5.吸気位(通常)のCT画像で全肺野濃度の低下
6.亜区域性や区域性の軽度の円筒状気管支拡張
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参考文献:文献へのリンク付
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2017-04-01
本症例は「症例画像データベース」に登録されました。