症例04
疾患名・解説
Step2
診断名を見て、再度画像診断を検討してください
Step3
CT所見、用語(解剖)解説と病変所見のあるキー画像
キー画像の右側の“>”をクリックすると画像上の重要所見に矢印マークが現れ、さらに“>”をクリックすると所見のコメントが現れます。Thin-slice画像や白黒反転での読影にも挑戦してください。
画像所見の解説
CT所見
気管支、肺野
気管支には、びまん性の壁肥厚と背側を中心にした拡張が認められる。嚢状拡張が主体であるが、静脈瘤様、円筒状の拡張も混在している。印環サイン(signet ring
sign)を認める。嚢状拡張部には粘液の貯留が見られ、air-fluid
levelを形成している。また気管支末梢には粘液栓が見られ、樹枝状、分枝状陰影を呈している。左下葉、特にS6にはエアートラッピングによる肺野濃度の低下が見られる。また、局所的な浸潤影も見られる。嚢状気管支拡張症で、気管支肺炎の合併である。
用語解説【印環サイン(signet ring sign)】
気管支拡張症の所見で、横断像で拡張した気管支のそばに伴走する肺動脈が指輪の宝石のように見えること。嚢状、静脈瘤様、円筒状のどの気管支拡張のタイプにも見られる。嚢胞性病変の鑑別所見として用いられる。
キー画像1 嚢状気管支拡張
キー画像2
キー画像3
キー画像4
白黒反転画像で気管支の嚢状、静脈瘤様、円筒状の拡張と、壁肥厚、air-fluid level、粘液栓の所見をトレースしよう。
そのほかのCT所見
肝嚢胞:肝右葉に12mm大の低濃度域あり。
キー画像5 そのほかのCT所見
Step4
疾病の解説と所見のまとめを見た後、再度画像診断を検討してください
病名の解説
嚢状気管支拡張症
嚢状気管支拡張は気管支拡張症の中で重症度の高い比較的稀なタイプである。気管支の嚢状拡張が特徴で、胸膜表面まで拡大するものもある。ブドウの房状に集簇するものも見られ、円筒状や静脈瘤様の拡張と混在することもしばしばである。先天性と後天性があり、後天性は小児期の繰り返す気道感染や誤嚥などによって生じる。
嚢状気管支拡張症のCT所見のまとめ
1.CTでは気管支の嚢状拡張が特徴的で、印環サイン(signet ring sign)や 内部に粘液貯留に伴うair-fluid levelが見られる。
2.末梢側の気管支に粘液栓による分枝状・樹枝状影や、air-trappingによる肺野濃度低下が見られる。
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参考文献:文献へのリンク付
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Bhalla S. Bronchiectasis. Radiol. Clin. North Am. 2009;47 (2): 289-306.
2.Milliron B, Henry TS et-al.
Bronchiectasis: Mechanisms and Imaging Clues of Associated Common and Uncommon Diseases.
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3.Ouellette H. The
signet ring sign. Radiology 1999; 212:67-68
2017-05-01
本症例は「症例画像データベース」に登録されました。