症例03
疾患名・解説
Step3
その後解説を見て、再度画像診断を検討して下さい
診断:特発性肺線維症
(Idiopatic Pulmonary Fibrosis/Usual
Interstitial Pneumonia (IPF/UIP))
画像所見の解説
胸部X線写真
両側下肺野は容積減少を示し、線状影や粗大な網状影を伴っている。
CT像
両側下葉は著明な容積減少を示し、下肺野優位に気管支周囲および胸膜直下に網状影と軽微なすりガラス影を認める。著明な牽引性気管支拡張を伴うが、蜂巣肺は伴っていない。胸膜面の不整や気管支血管の不整な肥厚もある。しかしながら、比較的病変は均一であり、気管支周囲に強い部分も見られ画像上はfibrosing NSIPを疑った。尚2011年のIPFガイドラインではpossible UIPないし、気管支周囲に強いことよりinconsistent with UIP patternに分類される。
本症の解説
病理組織像
左肺S1+2、9より胸腔鏡下肺生検が施行され、usual interstitial pneumonia(UIP)に合致する所見が得られた。
全般
IPF/UIPは原因不明の間質性肺炎の中で最も頻度が高いものである。病理学的には空間的、時間的多彩さ、小葉辺縁分布を特徴とするが、画像診断ではそれらは無視され、蜂巣肺のみが重視されてきた。小葉辺縁分布は西村、伊藤らにより胸膜面の不整、小葉間隔壁及び気管支・血管の不整な肥厚像(1)に相当すると報告されている。空間的、時間的多彩さに相当する画像所見としては、
1.1つの2次小葉に相当する1-2cmの領域に正常を含めた4つ以上の所見が混在すること、
2.著明な左右差が見られることが挙げられている(2)。
尚2011年に上市されたATS-ERS-JRS-ALATのIPFガイドラインではCTで下肺野末梢優位の網状影が見られるが、蜂巣肺が無い場合にはpossible
UIPとして診断には外科的生検が必要であるとされた(3)。
またCT像上IPF/UIPと考え難い一群をinconsistent with UIP
patternとした。本例は病変が気道周囲に強いとみるとinconsistentに分類されるが、いずれにしても診断には外科的生検が必要となる。
病理組織像は典型的なUIP像であったことより、multidisciplinary practiceにてIPF/UIPと診断された。
参考文献:文献へのリンク付
1.Nishimura K,
et al.
Radiology 1992;182:337-342
2.Johkoh T, et al. EJR
2014
;83:20-26.
3.Raghu G,
et
al. Am J Respir Crit Care Med 2011; 183:
788-824
2015-04-01
本症例は「症例画像データベース」に登録されました。