症例07
疾患名・解説
Step3
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診断:特発性器質化肺炎
(Cryptogenic Organizing Pneumonia(COP))
画像所見の解説
胸部X線写真
両側上肺野及び末梢優位に非区域性に広がるConsolidationを認める。すりガラス影も伴う。
CT像
両側上肺野及び胸膜直下優位に非区域性に広がるconsolidation、すりガラス影を認める。
正常との境界部に濃い帯状、線状影が残るperilobular opacities、内部のすりガラス影が濃厚な帯状影にとり囲まれるreversed halo signも見られる。
特発性器質化肺炎や好酸球性肺炎を疑う像である。
本症の解説
病理組織像
経気管支肺生検では充分な検体が得られず、患者の希望もあり、外科的生検が右S2、6より施行され、特発性器質化肺炎に合致する所見が得られた。
全般
COPはEpler、Colbyらにより提唱された疾患概念であり、
臨床的に予後の良好な疾患で、病理組織学的には、
1)肺胞管内腔を中心とした器質化浸出物の形成、
2)呼吸細気管支、膜性細気管支の閉塞性細気管支炎と
3)肺胞構築の改変を伴う様な線維化病変を欠くこと
を特徴とする(1)。
当初は、Bronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia
(BOOP)と呼ばれたが、閉塞性細気管支炎の病理像とそれに対応する呼吸機能所見は無いことが多く、2002年のATS-ERSコンセンサス分類以降COPとよばれることとなった(2)。
CT所見は、収縮を伴う濃淡の高吸収域が特徴であり、すりガラス状陰影が全く無い場合もある。
時に小葉中心性粒状影を認めることもあるが、ない場合の方が多い。結節影、塊状影を示すことがあり、その場合nodular forming COPと呼ばれる(A)。
末梢優位に分布することが多いが、気管支周囲に広がることもある(3,4)。
特殊なCT所見として、病変の排除機構の反映である、小葉辺縁に濃厚な陰影が見られるperilobular opacities(B)(5)やすりガラス影が濃厚な陰影で囲まれるreversed halo
sign(C)が知られている。(6)
Reversed halo signは珊瑚で出来た環礁に似るため、atoll signとも呼ばれる(7)。
ATS-ERS2013年のコンセンサス分類では、本疾患はAIPとともに急性特発性間質性肺炎群に分類されたが、慢性の経過を取るものもあり、その位置付けに疑問が残る(8)。
参考文献:文献へのリンク付
1.Epler
GR et
al. N Engl J Med 1985; 312: 152-158
2.ATS/ERS.
Am J Respir Crit Care Med. 2002; 165: 277-304
3.Nishimura K, et al. Chest 1992; 102: 26S-31S
4.Lee KS,
et
al. AJR 1994; 162: 543-546
5.Ujita M et al.
Radiology
2004; 232: 757-761
6.Kim SJ et al.
AJR
2003; 180: 1251-1254
7.Murphy JM,
et
al. Eur. Radiol. 1999; 9: 1813-1817
8.Travis
W, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2013; 188: 733-748
2015-04-01
本症例は「症例画像データベース」に登録されました。