(1)画像データの著作権及び所有権は誰に帰属するのですか?
株式会社ジェイマックシステムにご提供いただく医療用画像は「著作物」には該当せず、著作権は発生しません。
著作権法によると、「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義されており(第2条第1項第1号)、創作的な表現であること(=創作性)が著作物の要件となっています。著作権法は、文化の発展に寄与することを目的としており(第1条)、単に表現の製作過程で投下した労力を保護するものではありませんから、創作性が著作物の要件として要求されています。
創作的な表現であるとは、表現者の個性が創作行為に現れていることをいいます。したがって、表現の選択に幅がなく、表現者の創作行為に個性が発揮されないような場合には、創作性が否定されます。(中山信弘『著作権法』(有斐閣、2007)52頁参照)。
ご提供いただく医療用画像は、診療という目的のため撮影されたものであって、かかる目的に照らすと、表現の選択に幅があったとはいえません。もちろん、撮影者によって撮影される画像は異なりますが、これは撮影者の技能の程度によって結果的に生じた巧拙であって、撮影者の個性の発揮としての創作性とは異なります(仮に医療画像に著作権が生じるとすると、医師が医療用画像を撮影する際には、他人の著作権を侵害しないよう配慮して撮影しなければならないという非常識な結論に至ってしまいます)。
以上のとおり、医療用画像は創作性を欠き、著作権は発生しません。
なお、医療用画像が論文等で使用されていることもありますが、この場合も、(論文について著作権が発生することはありますが)医療用画像自体に創作性が付与されるわけではありませんから、画像には著作権は生じません。画像の提供に際して、論文の執筆者から了解を得る必要はありません。
(2)所有権について
所有権は、有体物についてのみ発生します。データとしての医療用画像は、有体物ではありませんから、画像自体に所有権はありません。
なお、上記(1)のとおり、医療用画像データには著作権も発生しませんから、ご提供いただく画像データの使用方法等について、何らかの取り決めをご希望される場合は、提供の際にかかる取り決めについて株式会社ジェイマックシステムと合意していただくことになります。
回答 弁護士 川本 周(西村あさひ法律事務所)
最終更新 2008年10月22日
(免責事項)
上記は株式会社ジェイマックシステムが通常の扱いに基づき医療用画像のデータの提供を受ける場合についての説明であって、それ以外の情報を取得する場合について述べるものではありません。
上記は最終更新時現在の法令に基づく回答であって、その後の法改正によっても変更されないことを保証するものではありません。
上記は株式会社ジェイマックシステムに医用画像サンプルをご提供くださる皆様へ向けたご説明であって、それ以外の方が上記の説明を内容に依拠したことによって生じる一切の損害、損失その他一切の費用について、回答者及び株式会社ジェイマックシステムは責任を負うものではありません。
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